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犯罪の成立について⑧(違法性)

こんにちは。前回みてきたように、ピストルを撃つという実行行為を行い、その弾丸が命中して被害者が死亡し、さらに行為者がその事実を認識・認容していたという場合、構成要件該当性は充足し、それだけで犯罪が成立するかのように思えます。しかし、犯罪の成立には、構成要件該当性のほかに、別途社会的に悪いこと、すなわち違法性が必要なのです。結論から言えば、正当防衛、緊急避難などが成立する場合、構成要件該当性が認められても、それらは社会的に許されたものとして違法性が認められず、犯罪は成立しません。
緊急避難とは、なかなか耳慣れない言葉ですが、自分に危難が迫ったときに、悪くない人を犠牲にして危難を回避する場合です。正当防衛は悪い相手に対して攻撃を加えるものですが、緊急避難の場合は、悪くない人に攻撃を加える場合です。例えば、船が難波して皆で漂流している際、1人だけがしがみつくことのできる板があったとして、他者をはねつけて自分がその板にしがみつき、その他者が溺死しまった場合です。この場合、他者は自分に攻撃をしているわけではないですので、悪くなく、それにもかかわらずその悪くない他者に対してはねつけるという攻撃を加えることになります。また、漂流という状況下で人をはねつけることは、十分殺人罪の実行行為に該当するでしょうし、他の構成要件要素も満たします。しかし、このような場合の行為者の行為は社会的に許されたものとして、違法性がないと評価されるのです。

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弁護士 海老名毅

弁護士 海老名毅

弁護士みなと綜合法律事務所
横浜、関内を拠点に弁護士をやっております海老名毅です。 私が弁護士として大切にしていることは「依頼者様の立場になり、解決の選択肢を提示すること」です。夜間・休日・時間外の緊急相談もできるだけ対応しますので、お気軽にご相談ください!
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